豪快、しかし華麗。Baja 302
イグニッションスイッチを回すと、トルクフルで重厚なエキゾーストノートが響いてきた。
心地よい音がこだまする。

ムアリングが解き放たれ、静かにポンツーンを離れる。何か滑走路に向かう戦闘機の仕草にも似ている。

スロットルにチカラを加えると、滑走するという表現よりも、テイクオフそのものの体制に入り、機種を持ち上げる。ほんの暫くすれば水平飛行に移る。やはりこのマシーンはタダモノではない。加速力が全く異なる。
背中がシートに押しやられ、ウインドシールドから、望遠レンズを出し、275をファインダーに入れようとすると、風圧にカメラごとスターンに追いやられる。
ポジションをドライバーの隣、パッセンジャーシートに移す。ここも快適。

風が頭上を通り抜けて行く。もはやこのシートもパッセンジャーシートではなく、コ・パイロットの操縦席そのものだ。「ボーティングを楽しもう」と云う気にさせられる。そんなボートだ。


いまさらながら、アメリカと云う国は・・・と、感じさせられる。
アメリカと云う国は自動車部門では欧米に人気を奪われてしまっている感があるが、ことボートとなると欧米と比較しても遙かにセンスが光っている。アメリカンスタイルのボートをとやかく言う、マリングルメも大勢いるが、私は欧米諸国産のボートスタイルより、アメリカンが好きだ。

日本はと云うと、自動車部門はメルセデスと肩を並べるほどにデザイン、性能面でも優れているが、ボートとなると、随分世界から遅れをとっているようにも思える。
これは小ロッドの生産だから仕方のないことだろうが、ハル、ボトムなどはFRP成形ゆえ、カタチはなんとかワンオフでも格好はつくが、細かな部分で、100円台のボートから1億円は大げさとしても、それに近い価格のボートまでが、同じパーツが取り付けられ、ガッカリさせられ、ひどいのになると、漁船用もサロンクルーザーも同じスロットルリンケージレバーを堂々と使っていた記憶がある。

また、キャビンハッチに至っては20年も前と全く同じ、四角型の無骨なモノが、ボートの顔というべき、バウデッキにはめ込まれている。クルマや家電品では考えられないことだ。

その点、大量生産されるボートは、クラスが異なれば、それに見合ったパーツがチョイスされ、デザイン、機能に違和感がなくなる。だからBajaなどは美しく見え、またカッコ良くも見える。
今回の275と302のメーターパネルを見比べて見れば、全く異なっていることに気づく。
美しいモノは速い、速いモノは美しい。それがバハの魅力のひとつでもある。


外観の鋭さとあいまって、キャビンのオシャレ度数はかなり上位にランクされる。ここでもまたアメ車の品の悪さ(最近はそうでもないが)と比較すると、ボートデザイナー、ビルダーのセンスが光って見える。またメーターパネルに至ってはアートの領域に入ってしまう。これがBaja302の世界だ。


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