スズキ4ストロークエンジンが、
すべての船外機をリードしている。
2ストロークから4ストローク時代へ。
1965年5月、それまで二輪、四輪の2ストロークエンジンで実績を納めてきた「スズキ」が船外機部門に進出した。

その2年前の1963年、今から思えば僅か21馬力、最高出力5500rpmの空冷2サイクル・2気筒のスズライト・フロンテFEAがフジスピードウェイで開催された「第1回日本グランプリレース」軽自動車クラスで優勝した。
その後フロンテ360LC10、1970年にジムニー、71年にはフロンテクーペ、キャリィ、セルボ、アルトなどを発表し、1985年にはツインカムターボを搭載したアルトワークスを誕生させた。

また二輪では1962年マン島レース50ccクラス優勝(ディグナー選手)にはじまり、その後のロードレース、モトクロスで世界を圧巻したことは云うまでもない。また、71年に名車と詠われた「スズキGT750」の発売、その後「スズキGSシリーズ」は4サイクルエンジンで400cc、550cc、750ccを発表した。
この頃はまだ、二輪、四輪共、2ストローク、4ストロークの双方が開発、販売されていたが、1980年代に入ると徐々に4ストロークエンジンが多く見られるようになっていった。
1988年には我々マリンファンには「ヘリーハンセンバージョン」でお馴染みとなった「エスクード」が4ストローク1600ccを搭載し、発売と同時に人気を得たことは記憶に新しい。

こんな歴史の中でも、個人的に印象に残っているのが、1971年に発売されたフロンテクーペ。当時、画期的な設計で話題となった3気筒、2ストロークエンジンという、とてつもないパワーを持ったエンジンがあった。

フロンテクーペとフォーミュラ
当時、日本国内のみだが「フォーミュラ・リブレ」と云うF-1と同じカタチをしたれっきとしたフォーミュラマシンにこのフロンテ・エンジンを搭載し、サーキットを暴れ回った時代があった。
スズキエンジンが出るまでは、すべてのマシンがホンダ・4ストロークエンジンを使用していたが、フロンテ・2ストロークエンジンが出るやいなや参加者のすべてがスズキに載せ替えた経緯がある。
それまでのエンジンと云えば2気筒、4気筒、6気筒、8気筒と当然のように偶数のシリンダーを備えていたが、「スズキ3気筒」の出現は世間をアッと言わしめていた。

このエンジンは、とてつもなくパワーがあった、360ccを550ccにボアアップしただけで、おおよそ60psに近い出力があったように思う。
ホンダエンジンより軽く5psは上回り、それ以上に優れていたのは実にスムーズな回転に加えトルクに溢れていた記憶がある。
このエンジンの出現までのモータースポーツ神話では、街では2ストローク、レースでは4ストロークと云う神話がいっきに崩れ、2ストロークで充分に通用することが実証されると同時に「スズキ」への信頼がモータースポーツの世界から市販車にかけて大きく飛躍した気がする。

4ストロークエンジンに求められる「静かさ」と「燃費」と「パワー」
話を船外機に戻そう。今から40年ほどさかのぼるが、日本国内でのボート船外機エンジンと云えば、輸入エンジン、それに対抗したYAMAHAが1960年に国産第1号機を発売した。
私が海に出るようになったのはそれから20年も後になるが、その時は「マーキュリー」「ジョンソン」に加えて「ヤマハ」が国内のシェアを独占し、「スズキ」の船外機を見かけたのは、数年で1機のみだった。
その後、1990年代には「ホンダ」から「4ストローク船外機」が発表された後、
1999年に、その4ストロークエンジンBF90がオーストラリアから沖縄までの6000km単独航海が成功し、「ホンダ船外機」が脚光を浴びた時期があった。
私も、早速その「ホンダ船外機」を試乗した。「静か!」が第一印象だった。
その後「ヤマハ」にも試乗し、次第に4ストロークエンジンに目を向けるようになって行った。
私も以前、ヤマハ2ストローク・50psで琵琶湖狭しと走り廻っていたが、その時の4ストローク音と比較すると天と地程の静粛性を感じさせられた。

静粛性、瞬発力ではスズキに軍配。
それから、2〜3年後「スズキ・アグレッサー」の発売と同時に堺市にある「イシバシマリン」での試乗会に「スズキ4ストローク」と、ついに巡り会うこととなった。普段、試乗と云ってもほとんどステアリングを握ることはないが、思わず「ちょっと運転させてください」と言ってしまったほど「アグレッサー」と「スズキ4ストローク」に魅せられてしまった。
「ホンダ」「ヤマハ」以上に静か! まず素人目に感じる「音の静かさ」だった。
 この音に関してだが、個人個人によって感じ方、とらえ方があると思うが、私は個人的にこの「スズキ」が一番静かだと感じている。
そして、スロットルを少し開けると加速のスムーズさに出逢える。上手く表現できないのが残念だが、スロットルとスピードがピッタリと付いてくる!といった感じだ。
そして減速からコーナーリング、そして徐々に加速してみると実にトルクを感じることが出来た。そのままフルスロットルまで実になめらかな加速をみせてくれた。それはまるで3気筒2ストロークで体験したフォーミュラマシンのように、キレイに吹き上がっていた。

なぜスズキ4ストロークなのか・・・
まず、私なりの疑問をそれぞれの専門家に尋ねてみた。
順序こそ違え、良い意味で決まって同じ答えが返ってくる。
「静かです!、4ストロークエンジンの中で一番静かですネ〜アイドリングの音が特に静かなのに驚く・・・」
「コンパクトで軽くに仕上がっている」
「立ち上がりはスロットルどおりに走ってくれるし、中低速のトルクがある」
「0から30マイルまでは一番速いのでは・・・・」
「他社はすべて別売ですが、スズキはリモコン、プロペラ、メーター、ケーブル類が付属されているのでユーザーに勧めやすい」
「オルタネータ出力(発電容量)が大きいので、GPSなどに良いですね。これもスズキが一番です」
「アイドリングが安定している」
「16インチペラ(V6 200ps〜)は凄い!」
などなど・・・答えは250ps(183.9kw)V6・DOHCから70ps(51.5kw)SOHC、また50ps(36.8kw)までと入り交じっているが、理解しやすいようにそれぞれの意見をモデルごとにまとめてみた。

スズキ4ストロークエンジンにはすべてDFのコードナンバーが付いている。
V型6気筒 3.6Lについて (Vの角度とオフセットされたドライブシャフト)
V型6気筒 3.6L EPI(電子制御燃料噴射装置) DOHC24バルブエンジンはDF250(183.9kw)・DF225(165.5kw)・DF200(147.1kw)の3機種。
このDFのあとに続く数字が馬力を表している。
ただ、馬力だけを注目するのではなく、kwで表現されるオルタネータ(発電容量)に注意することが肝心。

V6は業界初の55°のバンク角度でコンパクト化に成功している。
これは60°と比較するとエンジンそのものの大きさが違い、同出力エンジンと比較すると、軽量ながらパワーがあると云うことになる。5°角度を変えただけでは大きなパワーの差は出ないが、コンパクト、且つ軽量にするなどのきめ細かな技術の積み重ねの集合体が、総合力で勝るということなのだ。

DF250(183.9kw)・DF225(165.5kw)・DF200(147.1kw)
DF140 DF115 DF90の6機種に採用された「オフセットドライブシャフト」
左図の赤ラインがドライブシャフト。このメリットはコンパクトであると同時に船外機そのものの重心を前方に移動できたことは、艇全体のバランス向上に良い結果を与え、且つエンジンの振動を低いレベルに抑えている。
さらに、オフセットさせたことで2.29の大きな減速比を生み出し、減速比(トルク)を大きくし、大ピッチのプロペラが使用可能になったということです。

DF250・DF225・DF200は16インチのプロペラを採用している。
プロペラは推進力を左右する大切なものです。簡単に説明するとプロペラは水中でスリップ(スピン)をおこす傾向にあり、これは型が小さいほど多く、なるべくなら大きなプロペラを装備したいものです。
しかし、単に大きくすれば良いと云うものではありません。プロペラを最適なピッチで回転させる必要があり、そのためには大きなトルクが必要なのです。

低燃費
DF40〜DF250
DF40〜DF250のラインナップの電子制御燃料噴射装置(EPI)とコンピュータ制御のアイドリングを適正に保つ装置(IAC)の採用で、アイドリングから高回転域までのレンジで低燃費化に成功している。実際桟橋に泊めた状態でのアイドリングやフィッシング時のアイドリングや微速時などにはかなりの効果を上げているようだ。ちなみにスズキのデータによるとDF140の場合DT140(スズキ2サイクル)と比較して、アイドリング時に約70%ほど燃料の軽減になっている事実は見逃せない。

高出力オルタネーター
スズキ4ストロークの持つ高出力のオルタネータには定評がある。これは実際にスズキ4ストロークを使用しているユーザーから直接インタビューしたものだが、「GPS魚探を使用するのにアイドリング時で使用できる」と云うのだ。これは2サイクルでは考えられないことで、他社メーカーの4ストロークと比較しても群を抜いていると云う。
DF250・DF225・DF200は、最大54A(12V)の発電能力。
DF250・DF225・DF200には54Aの発電能力を備えた高出力のオルタネータが装備され、1000rpmでも38A前後の電力が供給されるよう設計がなされているため、低速でのフィッシングに使える船外機なのだ。

今回記した以外にも、スズキ4ストロークエンジンの高性能さを示す要素は多数あるが、かなり専門的になってしまうので省略させていただくが、前出の「コンパクトで軽くに仕上がっている」
「立ち上がりはスロットルどおりに走ってくれるし、中低速のトルクがある」
「0から30マイルまでは一番速いのでは・・・・」
「他社はすべて別売ですが、スズキはレスパーツでシフト、ペラ、リモコン、ハーネスなどパッケージ販売なのでユーザーにすすめやすい」
「オルタネータ出力(発電容量)が大きいので、GPSなどに良いですね。これもスズキが一番です」
「アイドリングが安定している」
などのユーザーや販売店の言葉が一番理解しやすいのではないだろうか。

スズキ4ストロークエンジンの現状。
そこで、実際ディーラーであるイシバシマリンに現状を覗かせていただいた。
なぜ、スズキ4ストロークなのか?
イシバシマリンの前身は随分以前、1960年代「日本グランプリレース」時代からスズキ自動車の販売、修理を行っていたから・・・だからスズキのエンジンのことはすべて理解しているつもりです・・・
スズキ4ストロークの良いところは?
軽量、コンパクト、静か、低燃費、低振動、セット価格の利便性、このシステムはお客さんにとってみても優しく、安心感のあるシステムだと思います・・・
過去のトラブルは?
調整レベルのメンテナンスのみで、今だ大きなトラブルはありません・・・
ただ初期モデルのカウルの文字が色褪せた程度です(笑)・・・
あと、2ストロークと違ってオイル交換だけはマメに行っています。まぁちゃんと交換時期にはメーターに表示されますけどね・・・
それと、フラッシュバルブがイイですョ・・・
(エンジン内部の洗浄時に使用)


記_BJP_WEB

スズキGF-21(DF140)
ヤンマーFX24(DF-140)
スズキF23L(DF140)
ヤマハサンフレンド21(DF70)
イシバシマリン代表の石橋氏
●スズキ船外機に関するお問い合せは
株式会社ススキマリン 西日本営業所
〒651-2113 神戸市西区伊川谷町有里瀬1567-1
TEL078-978-6010 FAX078-978-6020
http://www.suzukimarine.co.jp

●(有)イシバシマリン
大阪府堺市浜寺石津町西5-10-19
TEL:072(264)1473/FAX:072(264)2230 
http://www.ishibashi-marine.com